【物語の謎の作り方まとめました】この謎は疑惑を出して、読み手の答えを知りたいという欲求を刺激し、読み手を引っ張る謎です

こんにちは。浅岡家山です。
物語の書き方で謎を出したいけれど、うまくできなくて困ったことってありませんか?
謎の作り方で私の方法を公開します。この方法を身に付ければ楽に謎を作ることができます。
この理論は、プロの小説家さんの本を分析して見つけた方法です。大いに益があると思います。
ただ作品のネタバレが多少ありますので知りたくないと思う人は注意して下さい。
また記事が膨大な長さになりますので、休み休みしながら最後まで読んで下さい。きっと役に立ちますよ!
参考にした作品は、『分身』東野圭吾 集英社文庫 『4U』山田詠美 幻冬舎文庫 『銀漢の賦』葉室麟 文春文庫 『日本婦道記』山本周五郎 山本周五郎長篇小説全集第四巻 新潮社 『誘拐児』翔田 寛 講談社 中村あやえもん. ミステリー「トリック」の作り方—「常識反転法」によるトリックの発想方法 Ayaemo kenkyusyo. Kindle 版.
ブログ記事を読むのが億劫な方は動画をどうぞ! 内容はブログと同じです。
目次
謎とは何か
謎というのは作品の中で読者に「これってどういうことだろう」と疑問に思わせ、間違った答えやさらに謎を呼ぶ展開などを示して読者の答えを知りたいという欲求を刺激し、作品の最後まで釘付けにする手法です。
読者は謎に引っ張られ謎の答えを知りたくて、ページをめくるわけです。
また謎が解明されると一連の流れが一度、総括されます。謎が解明されて今までの謎の答えを探そうとした行動に区切りができます。そしてまた新しい謎が出てきて、つぎの謎の解明を目指します。
物語には伏線を主体とした作品と謎を主体とした作品があります。
前者は山本周五郎の『さぶ』であり、後者は東野圭吾の『分身』です。伏線と謎どちらを主体にするとしても、決して伏線のみ、謎のみ、にはならないと思います。両方をうまく組み合わせて使いましょう。今回は謎を主体とした作品をメインに扱います。
大きな謎と小さな謎 謎にはどんな効果があるか
謎は長さという視点から大きな謎と小さな謎の二つがあります。
大きな謎とは物語の最初から最後までひっぱっていくものです。物語の冒頭に大きな謎が提示され、主人公は謎を解くために行動します。しかし簡単には解けず、断片的な答えを見つけながら、最後の最後に謎が解けます。
推理小説でいうところの名探偵が冒頭で起きた殺人事件を、最後の場面で種明かしをする。そういう類の謎です。
たとえば東野圭吾の小説『分身』では冒頭に、
”「もしかしたら私は母に嫌われているんじゃないか」”という疑問を提示します。
そして嫌われていると思う理由を書きつつ、主人公は疑問を解いていこうと行動します。
主人公はさまざまな事件にまきこまれながら、最後には答えを見つけます。
読み手の興味を最後までひっぱるのが大きな謎です。
対して、小さな謎はその章だけで答えがでる謎です。
多くは会話のなかで提示されます。
たとえば『分身』で、バンドのコンテスト番組に出演するアマチュアバンドの一人が、
”「ふつうにやりゃ、とりあえず今日は合格なんだよな」”と仲間に尋ねます。すると、一人が
”「その予定だってディレクターはいってた。しばらく大したバンドが出てくる見込みはないからって」”と答えます。これが小さな謎です。
ほかには、主人公が、マクドナルドで、初対面の人を待っていたら、相手がすぐに自分に声をかけてきたので、
”「どうしてすぐに私のことがわかったんですか?」”と質問すると
”「だって大きな旅行鞄を抱えてマクドナルドに入る女の子なんて、そうそういないもの」”と答えます。
小さな謎というのはこういうものです。
小さいので気づきにくいですが、小さな謎はそれを解明するだけで読み手に一時の解放感を与えます。
大きな謎で読み手を最後までひっぱりながら、答えを小出しにしつつ小さな謎で少しの解放感を与える。そして最後まで読ませる。これが大きな謎、小さな謎のテクニックです。
引用文献『分身』東野圭吾 集英社文庫 p5,31、49
謎の種類 内的独白の謎について
謎には内的独白、行動、会話、アイテムの4つの種類があります。
まず内的独白の謎を紹介します。
内的独白による謎というのは、たとえば物語の冒頭で「愛はどうして消えていくのか?」とか、「もしかしたら私は母に嫌われているんじゃないか」などの、疑問に思ったことを心の声、内的独白の形で提示して、読み手にどういうことだろう? と思わせるものです。
たとえば山田詠美の小説『4U』の冒頭に”「男が長いことつかっていたバスタブの残り湯は、はたして、スープか」”という文章があり読者は何のことだろう? と思わせる。そして主人公と男との関係を書いていき、謎を解明しつつ小説の最後に、”「だから、バスタブの残り湯がスープに思えて来るんだよ」”とオチがつきます。
最初に抽象的な疑問を投げかけ、本文で具体的に解明し最後の文章でオチをつけているわけです。
また前も書きましたが、東野圭吾の小説『分身』では冒頭に、
”「もしかしたら私は母に嫌われているんじゃないか」”という疑問を提示します。そして嫌われていると思う理由を書きつつ、主人公は疑問を解いていこうと行動します。主人公はさまざまな事件にまきこまれながら、最後には答えを見つけます。
二つの例からわかるように内的独白による謎というのは物語全体に係わる謎といえます。大きな謎です。
(もちろん小さな謎もあります、ただ冒頭での内的独白の謎は、大きな謎である確率が高いです)
引用文献 『4U』山田詠美 幻冬舎文庫p8、30 『分身』東野圭吾 集英社文庫p5
行動による謎について
行動による謎とは登場人物たちが普通ではしない行動や違和感を感じさせる行動をすることで、表にでてくる謎です。
たとえば毎週土曜日になると必ず本屋に50円玉を両替しにくる男性とか、葬式が終わっても毎夜、お経をあげる声が聞こえるとか。
なぜ、そんな行動をするのか? と疑問をもたせ先を読ませるわけです。
たとえば葉室麟の小説『銀漢の賦』の冒頭で
”「日下部源五が、家老松浦将監の異常に気づいたのは八月の昼下がりのことだった」”と書いてあって、
読者に異常って何? と思わせます。そして二人の状況や関係を説明しながら、
”「源五は馬上の将監が、苦しげに腹を押さえてかがむのを何度も見た」”と、もう一度、説明をします。
その後、将監が源五に自分がどう見えるか尋ね、
”「されば、ひどく弱られておるように見え申す」”と答える。
”「よう見たな源五、わしは死病にとりつかれておる。余命、いくばくもあるまい」”と書いて、疑問の答えを出します。
そして”「源五よ、わしは間も無く名家老どころか、逆臣と呼ばれることになるぞ」”と、また疑問を出すことで、読者の興味を惹きます。(この例は、行動による謎と会話による謎が混ざっています。「逆臣と呼ばれることになるぞ」というのが会話による謎です)
たとえば山本周五郎の『花の松』では妻の通夜が終わり、弔問客も帰り、静かになったのに病間からお経を読む声が聞こえます。主人公は不思議に思い、息子に尋ねるとしもべたちがお経を読んでいて、しもべたちは亡くなった妻を慕っていたから、どうか許してほしいと言われます。
主人公はその後、妻がどれだけ夫のために尽していたか、そしてしもべたちを労わっていたかを知り、妻の生き様を知ります。これはお経を読むという行動の謎から出発した物語です。
行動の謎は小さな謎といえます。そのため読者をひっぱるためには、謎がとけたら、すぐさま新しい謎を提示したほうがいいでしょう。
難しいと思いますか? 大丈夫です。
だって行動の謎はもっと小さな謎でいいんです。
歩いていたら、空をぼーと見ている男性がいた。どうしたんだろう?
これだけでも謎になります。
簡単ですよね。
大切なことは人物の不自然な行動を、ストーリーにどう絡ませていくかということです。そしてどうやって謎をひっぱっていくかということです。
引用文献『銀漢の賦』葉室麟 文春文庫p7,13,17,20
参考文献『日本婦道記』山本周五郎 山本周五郎長篇小説全集第四巻 新潮社
会話による謎について
会話による謎とは会話のやりとりのなかで、違和感を与えたり、それってどういうこと? と気になる会話をして、それの解明をするものです。
たとえば『さぶ』の物語の中で、栄二がおせいと初めて会ったときに、
”「さぶがいろいろお世話になったでしょう。私からもお礼を申し上げます」”と言うと、おせいは”「いいえ、お世話になったのはあたしたち親子のほうなんです。あたしたち、三郎さんがいなければここから追い出されるところだったんです」”と言った後、さぶはとんでもないと話を遮ります。そこから、おせいの身の上話になり、2ページほどして、おせいと別れた後、栄二が”「おめえなにをしてやったんだ」”と尋ねて謎の解明をします。
難しいと思いますか? 大丈夫です。
だって、会話による謎はもっと小さな謎でいいんです。
たとえば、
「外では雨が降ってるかい?」「さっき外に出たときは降ってなかったよ。大丈夫、行っておいで」
これだけでも、会話の謎といえます。つまり会話のなかで、疑問を口に出せば、それだけで謎になります。そして、回答がでれば解放感があります。
簡単ですよね。
大切なことは疑問を、ストーリーにどう絡ませていくかということです。そしてどうやって謎をひっぱっていくかということです。
引用文献 『さぶ』山本周五郎 山本周五郎長篇小説全集第三巻 新潮社p335,336,339
アイテムを使った謎について
アイテムについての謎というのは簡単に言うと意外な物ということです。
たとえば何度も出している東野圭吾『分身』では、娘が亡き母親の本棚を片付けていたら、意外なスクラップブックを見つけます。スクラップブックには政治家の記事の切抜きが貼ってありました。母親は、政治に興味がなかったはずなのに、なぜ、そんなものを作っていたのか? さらに調べてみると政治の記事よりもその政治家の子供についての記事ばかり集めていた。いったいこれは何なのだ? と謎を提示します。
また『分身』ではほかにも、写真がはがしてあるアルバムやマジックで顔を消してある写真などがでてきます。なぜ写真をはがしたのか? なぜ顔を消してあるのか?
どうですか? 気になりませんか?
これがアイテムを使った謎です。もちろん物語が進むうちに、そのアイテムの謎は解けていきます。
難しいですか? 大丈夫です。
だって、謎は、簡単に作れますから。
たとえば、鉛筆がトイレに落ちていた。なぜだろう?
これだけで謎になります。
アイテムに不自然な様子をつけるだけで謎は作れます。
簡単ですよね。
大切なことは、そのアイテムの不自然な様子(謎)と、それをストーリーにどう絡ませていくかということです。そして、どうやって謎をひっぱっていくかということです。
参考文献『分身』東野圭吾 集英社文庫
謎が謎を呼ぶ展開について
謎が謎を呼ぶ展開とは、簡単にいうとまず大きな謎がでてきて、その謎が解ける前にさらに謎がでてくることです。謎がどんどん現れ、読み手は、解答を知りたくて、どんどん先を読もうとします。
たとえば『誘拐児』という小説では最初に誘拐事件が起こり、身代金の受け渡しの際に、犯人と警察の追いかけっこがあります。結局、犯人は捕まらないのですがそれから数十年後、殺人事件が起きます。この二つの事件は、犯人があきらかになるにつれ、その関係性が見えてくるというものです。
また何度もとりあげている『分身』では冒頭で、”『もしかしたら私は母に嫌われているんじゃないか』”という疑問を投げかけます。その後、真相を探ろうと主人公は行動するのですが、突然、母が自殺し、なぜ死んだのか? という二つ目の大きな謎が提示されます。主人公はその謎を解明しようと行動するのですが答えが見つからず右往左往します。それでも少しづつ少しづつ、真相に近づき、最後に答えを見つけます。
大切なことは、大きな謎をいくつも出すということです。すると、真相を解明するときに新しい発見がどんどんわかり、読み手は解放感を感じます。
参考文献 『誘拐児』翔田 寛 講談社 引用文献『分身』東野圭吾 集英社文庫p5
謎の転化について
謎を伸ばす方法があります。
『さぶ』のなかで、さぶが泣きながら糊を作っていたという行動の謎があり、そして、後日、栄二は、さぶに、あれは何だったのか? と尋ねます。つまり、行動の謎が会話の謎に、転化したのです。こんな感じで謎をどんどん伸ばすことができます。
行動の謎→会話の謎
会話の謎→行動の謎
会話の謎→会話の謎
の三タイプがあります。謎を伸ばして、再利用するときに、この三つを思い出すといいと思います。
参考文献『さぶ』山本周五郎 山本周五郎長篇小説全集第三巻 新潮社
誤誘導について
誤誘導というのは、謎によって何だろう? と読み手に思わせておいて、つぎに少ない情報から「じつは、こういうことじゃないかな」と間違った方向へ、誘導することです。とりあえず回答を与えるわけです。読者は、正否がわからないのでそうなんだと思い込みます。そして、ある程度、間を置いて真実はこうでした! とみせるわけです。
つまり誤誘導することで真実を知ったときの意外性を大きくする方法です。
たとえば『さぶ』という小説では、石川島にいた栄二の元に居場所を知らないはずのさぶが現れます。栄二は会いたくないと拒否します。その後、どうやら六という人物が栄二の情報を同心に全て吐いたことがわかり、それでさぶが栄二の居場所を知ったのだと思います。
ところがしばらくして、おすえという女性が栄二に会いにきて、実は正月に、綿文の小僧から栄二が綿文で殴り飛ばされ番小屋へ連れて行かれたことがわかります。そこからさぶが番小屋や与力の青木に会って栄二の居場所を知ったのでした。
六から栄二の情報が漏れたと思わせておいて、実は綿文の小僧から情報が漏れたというシナリオです。こうすることで真実がわかり読み手は興味をひかれるわけです。
また『分身』という作品では、主人公の双葉が家に帰る途中、母親と知らない男性が話しているのを見かけます。あとで母親にあれは誰だったのかと聞くのですが大学時代の知り合いだと言って、何故かそれ以上詳しく教えてくれません。双葉はベットに寝ながらシングルマザーの母親に会いに来たのはもしかして自分の父親かもしれないと思います。でもその後の展開でその男性は実は自分を利用しようとする悪い男だということがわかります。
こんな感じで、少ない情報から偽の答えを提示し真実を知ったときの落差を演出する技法です。
誤誘導を使うのは、誤誘導しないと主人公たちはいつかは真実を見つけてしまう。ならば真実に行き着く前に、偽の答えを見せて追求する手を止めます。時間稼ぎになります。
つまり真相にいきつくには、まだ早いと思える場合に用いるテクニックです。
物語の序盤に使う方法ですね。
謎の答えの出し方について
謎の答えの出し方は「内的独白」、「行動」、「会話」、「アイテム」のどれかです。
「内的独白」の答えの出し方はそのままです。
心のなかで、ああだ、こうだと考え、つまり、こういうことだろう、と考えて答えを出します。ただし間違っていることもあります。それはそれで、真実を知ったときに意外性を生みます。
たとえば『分身』では、母親にテレビに出ることを反対された双葉が、”「なぜママは、あたしが人前に出るのをあれほど嫌うのか」”という謎を、内的独白で問います。そして、双葉は、うんうん考えながら、”「あたしが人前に出ると何か悪いことが起きる」”という結論に至ります。内的独白で考えることで答えを見つけるというものです。
「行動」の答えの出し方は心のありようを行動によって知らせます。謎に対して行動で答えます。
たとえば『分身』では、”「もしかしたら私は母に嫌われているんじゃないか」”という謎があります。そう思いながら、ある日繭子は、睡眠薬を飲まされ眠りに落ちます。そして”「ふわりと身体が浮く感覚があった」”という体験をします。そして気がつくと自分の家の庭に寝ていて家が燃えていました。
誰が、繭子を安全な庭へ運んだのか?
父親からのメモにより答えがわかります。それは母親でした。呪われた家族を殺し自分も自殺しようとした母親は、最後の最後に娘の命を助けたのです。繭子を庭へ運んだのです。つまり母親は繭子を嫌ってはいなかったのです。愛していたのです。
「母に嫌われているんじゃないか」という謎を、母親が繭子の体をふわりと持ち上げて助けることで愛しているという答えを行動で示したわけです。
「会話」の答えの出し方はそのままです。会話のなかで、謎の答えを言います。謎の答え方としては、これが一番多いと思います。
たとえば『分身』では、母親に無断でTVに出た双葉は、母親に問われます。”「もし、あんたたちが急にでないってことになったら、あの番組はどうなるかね?」「そりゃあスタッフが慌てるに決まってるじゃん」”
こんな感じで会話で答えを示します。
アイテムの答えの出し方は物的証拠としてアイテムを出します。そのアイテムが、謎の答えになります。
たとえば『分身』では悪者に捕らえられた繭子は病院に連れていかれます。そこで身体の検査などを受けます。ある時、自分の本にメモが書いてあることに気づきます。父親からの繭子へのメッセージでした。メモには繭子の出生の謎や母親の謎の答えが書かれていました。つまりメモというアイテムにより謎が解明されたのでした。
引用文献・参考文献『分身』東野圭吾 集英社文庫p37,38、78
謎の作り方
今までは具体的な謎について説明してきました。
ここからは謎の作り方について説明していきます。
謎を主体とした物語を作る場合の手順は以下のようになります。
1,テーマを決めます。このテーマは作品に通底するものです。作品の本質に関係したものです。
2,つぎにテーマに絡めて謎になるものを一覧表から選びます。
一覧表「感情、物品、行動、出生、建物、疑問、過去、外見」
この一覧表は実際にある作品から抜き出したものを抽象化したものです。
3,選んだものから謎を作ります。
4,どういう形で謎を出すか決めます。 「大きな謎」、「小さな謎」、「内的独白による謎」、「行動による謎」、「会話による謎」、「アイテムを使った謎」から選びます。
5,謎の答えの出し方を決めます。「内的独白」、「行動」、「会話」、「アイテム」のどれかです。
6,物語の中に、謎を出す部分と、答えを出す部分にそれぞれ配置して終わりです。
では具体的に謎を作ってみましょう。
1,テーマを決めます。ここでは、「愛」とします。
2,つぎに謎になるものを一覧表から選びます。ここでは、感情を選択します。
3,謎を作ります。「感情」を謎にするとします。テーマの「愛」に絡めて、「なぜ愛がなくなったのか」という疑問にします。
4,どういう形で謎を出すか? ここでは「大きな謎」と「内的独白による謎」にします。
5,謎の答えの出し方を決めます。謎は「大きな謎」なので、冒頭に「なぜ愛がなくなったのか」という「内的独白による謎」として提示します。その後、様々なことが起こり、終盤で、謎が解明されます。ここでは、「会話」による答えを出します。主人公が会話を通して謎が解けます。それによって、主人公の現状や感情、状態が総括されて表現されます。
6,物語のなかに謎と、謎の答えを配置して終ります。
こんな感じで謎が出来ました。謎は簡単に作れますので参考にしてみて下さい。
謎を作る手順
以下に謎を具体的に作る手順について載せておきます。謎を作る際の参考にして下さい。
1,テーマを決めます。このテーマは作品に通底するものです。作品の本質に関係したものです。
2,つぎにテーマに絡めて謎になるものを一覧表から選びます。
一覧表「感情、物品、行動、出生、建物、疑問、過去、外見」
この一覧表は実際にある作品から抜き出したものを抽象化したものです。
3,選んだものから謎を作ります。
4,どういう形で謎を出すか決めます。 「大きな謎」、「小さな謎」、「内的独白による謎」、「行動による謎」、「会話による謎」、「アイテムを使った謎」から選びます。
5,謎の答えの出し方を決めます。「内的独白」、「行動」、「会話」、「アイテム」のどれかです。
6,物語の中に、謎を出す部分と、答えを出す部分にそれぞれ配置して終わりです。
常識をひっくり返して作る謎
もう一つ謎の作り方を紹介します。これは中村あやえもんさんのミステリー「トリック」の作り方—「常識反転法」によるトリックの発想方法 Kindle 版. で紹介されている方法を参考にした方法です。
まず常識を考えます。例えば「遠足は楽しい」という常識をあるとします。一般的に遠足は楽しいものですよね。次にそれをひっくり返します。「遠足は楽しくない」となりますね。この「遠足は楽しくない」が謎になります。常識的に遠足が楽しくないのは意外です。そしてネットで「遠足は楽しくない 理由」で検索します。すると、「いじめられているから楽しくない」とか、「友達がいないから楽しくない」などが出ました。これが謎の解明になります。「遠足は楽しくない」の理由が出来たからです。
こんな感じで謎と謎の解明を簡単に作ることが出来ます。中村あやえもんさんの本ではこれを応用したミステリーのトリックの作り方が紹介されています。トリックに興味のがある方はぜひご購入下さい。お勧めです。
長篇の物語の謎の数
『さぶ』という小説でどのくらい謎があるか数えてみました。
その結果は、謎の総数は168で、内訳は行動の謎が15,内的独白の謎が6,アイテムの謎が3、会話の謎が144でした。
圧倒的に会話の謎が多いです。
どうやら、会話で「どういうこと?」みたいに、疑問を出すのは、会話をスムーズにする効果があるようです。
参考文献『さぶ』山本周五郎 山本周五郎長篇小説全集第三巻 新潮社
謎を学ぶのに良い本の紹介
謎について今まで取り上げた本は全て勉強になります。以下に載せておきますので、必要だと思う本はぜひ読んでみて下さい。
『分身』東野圭吾 集英社文庫
『4U』山田詠美 幻冬舎文庫
『銀漢の賦』葉室麟 文春文庫
『日本婦道記』山本周五郎 山本周五郎長篇小説全集第四巻 新潮社
『誘拐児』翔田 寛 講談社
まとめ
1、 謎とは答えを知りたいという欲求を起こさせるもの。
2 、謎には、大きな謎と小さな謎がある。
3 、謎には、内的独白の謎、行動による謎、 会話による謎、アイテムを使った謎がある。
4,謎が謎を呼ぶ展開がある。
5,謎を転化して伸ばす。
6,誤誘導というテクニックがある。
7,謎の答えの出し方は、内的独白、行動、会話、アイテムを使った方法がある。
8,謎を実際に作ってみる。
9.謎を作る手順について
10, 長篇小説では、謎は170ぐらい必要。その中でも会話の謎が多い。
11,謎を学ぶのに良い本の紹介
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